それよりしまへおあがりなされて一と夜参籠あそばされ、あくる日佐和やまへおわたりになりまして、いちにちふつか御きゅうそくなされましてから御ほっそくあそばし、どうちゅうつゝがなく清洲のおしろへ御あんちゃくになりました。
おさとかたではけっこうな御殿をしつらえてお迎え申し、「小谷のおん方」とおよび申しあげて至極たいせつなおとりあつかいでござりましたから、なに御不自由のないおみのうえでござりましたけれども、姫ぎみたちの御せいじんをたのしみにあさゆう看経をあそばすほかにはこれと申すお仕事もなく、おとなうお方もござりませんので、もうまったくの世すてびとのような佗びしいおくらしでござりました。
それにつけても、いまゝではおおぜいの人目もござりますし、なにやかやとおまぎれになることもござりましたのに、ひねもすうすぐらいお部屋のおくにとじこもっていらしってしょざいなくおくらしなされましては、みじかい冬の日あしでさえもなか/\長うござります。