なれどもこれはまあおもてむきでござりまして、まったくのところは、御両人ながら小谷のおん方にけそうしておいでなされ、どちらもおくがたをわが手に入れようとあそばしたのが事のおこりかとぞんじます。
これより先にかついえ公は、きよすにおつきなされますとおくがたへお目どおりあそばされましてねんごろな御あいさつでござりましたが、そのゝち三七どのへみつ/\におたのみなされましたとみえ、或る日三七どのおくがたの御殿へおこしなされましてかついえ公へ御さいえんの儀をおすゝめなされたらしゅうござります。
おくがたも、そこはなんと申しましてもおん兄ぎみにたよっていらっしゃいましたことゆえ、御ぞんしょうのうちこそおにくしみもござりましたけれども、やはり今となりましてはひとかたならずおなげきあそばし、むかしのうらみもおわすれなされてひたすら御えこうをつとめていらっしゃいました折柄、このさき御自分の身はともかくも、三人のひめぎみたちのゆくすえをおもわれますと、だれをちからになされてよいか途方にくれていらしったのでござりましょう。