ひでよし公には恋のねたみ、りょう地を取られたいこんがござります。
されば御列座のせきにおいてもたがいにそれを根におもちなされ、一方がこうとおっしゃれば、一方がいやそれはならぬと、眼にかどたてゝあらそわれまして、御れんし御きょうだいをはじめその余のだいみょう衆までが柴田がたと羽柴がたとにわかれるというありさまでござりました。
そんなことから、御ひょうじょうのさいちゅうに柴田三左えもん勝政どの勝家公をそっとものかげへまねかれまして、いまのまにひでよしを斬っておしまいなされませ、生かしておいてはおためになりませぬとさゝやかれましたけれども、さすが勝いえ公は、こんにちわれ/\御幼君をもりたてゝまいるべきばあいに、どうし討ちをしては物わらいのたねになるからと仰っしゃって、おゆるしにならなかったと申します。