おくがたも浅井家へおこしいれのみぎりは儀式ばんたんきらびやかなことでござりましたろうが、いまはおとしも三十をおこえなされ、かず/\の御くろうをあそばしたすえに、三人の連れ子をともなわれて雪ふかき越路へおもむかれるのでござります。
それが、またどうしたいんねんか、おみちすじまでが此のまえとおなじ駅路をたどってせきがはらより江北の地へおはいりなされ、なつかしいおだにのあたりをおとおりになるではござりませんか。
けれどもこのまえはえいろく十一ねん辰どしの春だったそうでござりますが、こんどはそれより十五六ねんのとしつきをすぎ、秋とはいいながらもう北国はふゆの季節でござります。