それが、またどうしたいんねんか、おみちすじまでが此のまえとおなじ駅路をたどってせきがはらより江北の地へおはいりなされ、なつかしいおだにのあたりをおとおりになるではござりませんか。
けれどもこのまえはえいろく十一ねん辰どしの春だったそうでござりますが、こんどはそれより十五六ねんのとしつきをすぎ、秋とはいいながらもう北国はふゆの季節でござります。
まして夜中にあわたゞしい御しゅったつでござりましたから、なんの花やかなこともなく、中にはまた、ひでよし公のぐんぜいが途中でおくがたをいけどりに来るなどゝ、あらぬうわさにまどわされておさわぎになるお女中がたもおられました。