それで殿さまがたは申すまでもなく、わたくしどもまでも御両家おんわぼくの儀をうかゞいまして、もうこのうえはいやなしんぱいもなくなるであろう、おくがたのおん身にもまちがいはなかろうと、ほっとむねをなでおろしておりますと、それから一と月とたちませぬうちに、ひでよし公すうまん騎をひきいて江北へ御しゅつじんなされまして、ながはまじょうを遠巻きになされました。
なんでもこれには仔細のありましたことらしく、ひでよし公が北の庄のごけいりゃくの裏をかゝれたのだと申すおかたもござります。
なぜかと申しますなら、ほっこくは冬のあいだは雪がふこうござりまして、ぐんぜいをくり出すことができませぬから、とうぶんは和ぼくのていにとりつくろい、らいねんの春ゆきどけを待って岐阜の三七どのとしめしあわされ上方へせめのぼるように、御そうだんがとゝのっておったのだと申すことでござります。