それでそのおかたの御口上には、ちくぜんのかみこと、昨年以来よぎないしあわせで柴田どのとかっせんにおよび、さいわい武運にめぐまれてこゝまでおしよせてまいりましたが、むかしをおもえば総見院さまにおつかえ申した朋輩のあいだがらゆえ、御一命までを申しうけようとは存じませぬ。
しゅりのすけどのにおかせられても、しょうはいは弓矢とる身の常、なにごともまわりあわせとおぼしめされてきょうまでのいしゅを水にながされ、このしろをあけわたして高野山のふもとへたちのいてくださらぬか。
そうすれば三万石のりょうぶんをさしあげて一生御扶持申しましょうと仰っしゃるのでござりました。