さようでござります、これはわたくしども、座頭の三味線ひきのものはみなよくぞんじておりますことでござりますが、すべてしゃみせんには一つの糸に十六のつぼがござりまして、三つの糸にいたしますなら都合四十八ござります。
されば初心のかた/″\がけいこをなされますときはその四十八のつぼに「いろは」の四十八文字をあてゝしるしをつけ、こゝろおぼえに書きとめておかれますので、このみちへおはいりなされた方はどなたも御存知でござりますけれども、とりわけめくら法師どもは、文字が見えませぬかわりには、このしるしをそらでおぼえておりまして、「い」と申せば「い」のおと、「ろ」と申せば「ろ」のおとをすぐにおもい浮かべますので、座頭同士がめあきの前で内證ばなしをいたしますときには、しゃみせんをひきながらその音をもって互のおもいをかよわせるものでござります。
ところでいまの不思議な合いの手をきいておりますと、