と仰っしゃいましたので、お初どのも小督どのも、おなじように「わたくしも/\」と右と左からおふくろさまにおすがりなされ、およったりがいちどにこみあげてお泣きなされました。
おもえばむかし小谷のときはみなさま御幼少でござりまして、なにごとも夢中でいらっしゃいましたなれども、いまは末の小ごうどのでさえもはや十をおこえあそばしておいでゞすから、こうなりましてはなだめようもすかしようもござりませなんだ。
さればずいぶん御辛抱づよいおくがたもかあいゝかた/″\のおんなみだにさそわれてたゞおろ/\と泣かれますばかりで、わたくし、じつに、十年このかたこんなに取りみだされましたのはついぞ存じませなんだことでござります。