それからさきは、朝露軒どのゝ一味とそれを防がれるかた/″\とがほのおの中に入りみだれ、たがいにあらそってせまいはしごを五重へのぼろうとなさるらしく、そのこんざつにもまれましてあちらへこづかれこちらへこづかれいたしますうちに、熱いかぜがさあっとよえんを吹きかけてはまたさあっと吹きかけてまいり、しだいにいきが出来ないようになりましたので、おなじ死ぬならおくがたと一つほのおに焼かれたいと、しょうねつじごくのくるしみの底にもひっしにおもいきわめまして、はしごへ手をかけたときでござりました。
「弥市、このお方を下へおつれ申せ」と、どなたかはぞんじませぬけれども、そう仰っしゃっていきなりわたくしの肩の上へ上臈さまをおのせになりました。
「おひいさま、おひいさま、おふくろさまはどうあそばしました」と、とっさにわたくしはそう申しましたが、それというのはそのとき背中へおんぶいたしましたのはお茶々どのだということがすぐにわかったからでござります。