くわしいわけはあとで知れたのでござりますけれども、その人とならんではしりながらだん/\話をきゝますと、朝露軒どのはまっさきに五重へ上って行かれましたところ文荷さいどのがたちまちたくみを見ぬかれまして、「裏ぎり者、何しに来た」というまもあらせず斬ってすてられ、はしごのてっぺんからけおとされたと申します。
それで一味のかた/″\も気せいをくじかれましたうえにおい/\味方の御家らいしゅうが馳せつけてこられましたので、なか/\おくがたをうばい取るなどのだんではなく、かえってきりふせられましてやけ死んだものがおおいとのことでござりました。
そのおり三人のひめぎみたちはなおもおふくろさまにしがみついていらっしゃいましたのを、ぶんかさいどのが早く/\とせきたてられまして、「このかた/″\をおすくい申し敵のじんやへとゞけたものは何よりの忠義であるぞ」と、むらがるにんずの中へつきはなすようになされましたので、いあわせたものがおひとかたずつお抱き申しあげて逃げたのだそうで、「だからとのさまとおくがたとはあの火の中でじがいなすったことだろう、おれはそこまではみとゞけなかったが」と、そう申されるのでござります。