夫人はもと桐生家と同格の大名である池鯉鮒信濃守の息女である。
夫輝勝に仕えて貞淑のほまれ高く、夫の死後は剃髪して松雪院と称し、実家池鯉鮒家に養われていたが、夫婦の間に子がなかったのでその晩年は殊に淋しく、夫に後るゝこと三年にして世を終った。
いったい日本の歴史的人物の肖像畫は、男性を写す場合にはよく個性的特長を捉えて、その人となりを髣髴たらしめている傑作が多いが、女性の肖像畫は概して類型的で、或る一時代の理想とする美人の雛型を描いているに過ぎない。
夫人はもと桐生家と同格の大名である池鯉鮒信濃守の息女である。
夫輝勝に仕えて貞淑のほまれ高く、夫の死後は剃髪して松雪院と称し、実家池鯉鮒家に養われていたが、夫婦の間に子がなかったのでその晩年は殊に淋しく、夫に後るゝこと三年にして世を終った。
いったい日本の歴史的人物の肖像畫は、男性を写す場合にはよく個性的特長を捉えて、その人となりを髣髴たらしめている傑作が多いが、女性の肖像畫は概して類型的で、或る一時代の理想とする美人の雛型を描いているに過ぎない。