まして此の少年は、幼時から両親の側を離れて武骨な侍の間に育ち、蘭麝の薫りなまめかしい奥御殿の生活と云うものを殆ど知らない。
かりにも女らしい女が二十人と寄り集ったところに醸し出されるきら/\しい色彩と、嗅ぎ馴れない薫き物の匂とが、生れて始めて彼の眼の前に一箇の花園をひろげたのである。
此の間から遠くの方で眺めてはいたけれども、こう近寄ってその雰囲気に包まれてみると、恐らく法師丸は、美しさや色っぽさを感じるより先に、不馴れから来る一種の嫌悪に襲われたのであろう、暫く黙って衝っ立っていたが、
まして此の少年は、幼時から両親の側を離れて武骨な侍の間に育ち、蘭麝の薫りなまめかしい奥御殿の生活と云うものを殆ど知らない。
かりにも女らしい女が二十人と寄り集ったところに醸し出されるきら/\しい色彩と、嗅ぎ馴れない薫き物の匂とが、生れて始めて彼の眼の前に一箇の花園をひろげたのである。
此の間から遠くの方で眺めてはいたけれども、こう近寄ってその雰囲気に包まれてみると、恐らく法師丸は、美しさや色っぽさを感じるより先に、不馴れから来る一種の嫌悪に襲われたのであろう、暫く黙って衝っ立っていたが、