谷崎潤一郎 『武州公秘話』 と、老女が一と言云って、頤で部屋の出口を指した。 そして、すぐ先に立って歩き出したらしく、衣ずれの音がおだやかな海に打ち寄せる波のように、さあッ、さあッ、と、一定の間隔を置いて、際立って耳についた。 九月ももう半ばごろのことで、寒い晩だった。 谷崎潤一郎の名言・名文を読む 用例を検索する → シェア