そうして彼女が櫛の峰を以て首の頂辺を打ち叩くとき、自分が叩かれているように考える、―――すると、彼の快感は絶頂に達して、脳が痺れ、体中が顫えるのであった。
それに、いろ/\な首の中でも最も醜いざまをした首、―――たとえば悲しそうな、又は訴えるような表情をしたものとか、何処か滑稽な顔つきのものとか、どす黒い汚い皮膚のものとか、よぼ/\の老人のものとか、そう云う首を「自分である」と想像する方が、花々しい若武者の首や勇士の首を自分にあてはめるよりも、一層彼を幸福にした。
つまり美しい首よりも哀れな醜悪な首の方が却って羨ましいのであった。