で、或る晩、―――と云うのは、あの異常な経験をしてから二日目の晩、法師丸はこっそり城の裏山の渓へ降りて、そこから城廓の外へ通ずる間道を伝わって行った。
彼の考では、敵の大部分は今城内の二の丸と三の丸に充満しているから、外廓の濠の向うにある本陣の方は定めし備えも怠っているであろうし、兵も大勢はいないであろう、すると、此の道を行っていきなり敵の本陣のうしろへ出れば、必ず好い機会があるに違いない、と云うのであった。
彼は何か知ら、初陣の武士が感ずる胸の高鳴りと武者ぶるいを覚えた。
で、或る晩、―――と云うのは、あの異常な経験をしてから二日目の晩、法師丸はこっそり城の裏山の渓へ降りて、そこから城廓の外へ通ずる間道を伝わって行った。
彼の考では、敵の大部分は今城内の二の丸と三の丸に充満しているから、外廓の濠の向うにある本陣の方は定めし備えも怠っているであろうし、兵も大勢はいないであろう、すると、此の道を行っていきなり敵の本陣のうしろへ出れば、必ず好い機会があるに違いない、と云うのであった。
彼は何か知ら、初陣の武士が感ずる胸の高鳴りと武者ぶるいを覚えた。