彼は既に陣中にある以上、女装をすることは却って不審を招く基だと感じたので、被っていた被衣を、小さく畳んで懐に入れた。
そして鮮やかな月の光が写し出す真っ黒な建物の影から影へと、飛鳥の如く身を躍らせて伝わりながら、立ち並ぶ陣小屋の軒に身を寄せて一軒々々窺って行った。
少年に取って仕合わせなことには、ところ/″\の篝り火の明りが月光のために効果を殺されて、へんに白っぽい煙のようになっているのである。
彼は既に陣中にある以上、女装をすることは却って不審を招く基だと感じたので、被っていた被衣を、小さく畳んで懐に入れた。
そして鮮やかな月の光が写し出す真っ黒な建物の影から影へと、飛鳥の如く身を躍らせて伝わりながら、立ち並ぶ陣小屋の軒に身を寄せて一軒々々窺って行った。
少年に取って仕合わせなことには、ところ/″\の篝り火の明りが月光のために効果を殺されて、へんに白っぽい煙のようになっているのである。