兎に角唯事でないと云うので、城内では一閑斎を始め重立った武将たちが寄り/\評定を凝らしたけれども、誰も好い加減な当て推量をするばかりだから、群議まち/\で埒が明かない。
いっそ此方から死にもの狂いで打って出たらばと云う説もあったが、敵にどう云う魂胆があるか知れないのにそれも危険だ、まあそのうちに様子が分るであろうから、敵が動く迄は此方も動くなと云うようなことで、とう/\その日も暮れてしまった。
そう云う訳で、敵も味方も疑心暗鬼に囚われている最中に、法師丸はひとり昨夜の失敗を思い出しながら懊悩していた。