だがその代り用のなくなった女どもが再び彼の部屋に寄り集まって、あの老女を中心に輪を作りながら朝夕雑談をつゞけていたので、彼はおり/\彼女等の席へ近づいて行って、その圓陣の中にいる例の娘を偸み見ることが出来たのであった。
が、年上の女に人知れず思いを寄せる少年の片恋ほど、果敢なく頼りないものはない。
測らずも彼の胸に不思議な煩悩の火を焚きつけ、四十三年に亙る彼の奇怪な性生活の端緒となった此の娘に対しても、法師丸はたゞ遠くから夢のような憧れを捧げていたばかりで、殆ど此れと云う直接の交渉を持たなかったのである。