此のとき河内介輝勝も則重の近習として従っていたが、八月十日の合戦の最中に、則重が城の大手から十五六丁離れた森の小蔭に馬を立てゝ軍勢を指揮していると、突然何処からか鉄炮の弾丸が飛んで来て、則重の鼻のあたまと擦れ/\の空間を横に掠めた。
則重は「あっ」と云って思わず鼻をおさえたが、続いて第二弾が飛来して、此れはあぶなく則重の鼻を、一挙にして顔面から抹殺してしまうところであった。
少くとも彼の鼻の頭には、線香花火でやけどした程の火ぶくれが出来て、甘皮の破れた皮膚の下からほんの僅かばかり血が滲んだ。
此のとき河内介輝勝も則重の近習として従っていたが、八月十日の合戦の最中に、則重が城の大手から十五六丁離れた森の小蔭に馬を立てゝ軍勢を指揮していると、突然何処からか鉄炮の弾丸が飛んで来て、則重の鼻のあたまと擦れ/\の空間を横に掠めた。
則重は「あっ」と云って思わず鼻をおさえたが、続いて第二弾が飛来して、此れはあぶなく則重の鼻を、一挙にして顔面から抹殺してしまうところであった。
少くとも彼の鼻の頭には、線香花火でやけどした程の火ぶくれが出来て、甘皮の破れた皮膚の下からほんの僅かばかり血が滲んだ。