尤もその折は一発しか飛んで来なかったので、河内介以外には気にかけた者もなかったくらいなのであるが、こうして再び似たような出来事に遭遇した今、河内介の胸に湧き上った不安の雲の塊は、次第に大きくひろがって行った。
誰か、前には一閑斎の、そして今ではその嫡子織部正則重の、鼻を狙っている者があるらしい。
―――河内介は、敵味方が火花を散らして闘いつゝある怒号と砂塵の中にあって、ゆくりなくも久しく忘れていた少年時代の悪戯の記憶を呼び戻した。
尤もその折は一発しか飛んで来なかったので、河内介以外には気にかけた者もなかったくらいなのであるが、こうして再び似たような出来事に遭遇した今、河内介の胸に湧き上った不安の雲の塊は、次第に大きくひろがって行った。
誰か、前には一閑斎の、そして今ではその嫡子織部正則重の、鼻を狙っている者があるらしい。
―――河内介は、敵味方が火花を散らして闘いつゝある怒号と砂塵の中にあって、ゆくりなくも久しく忘れていた少年時代の悪戯の記憶を呼び戻した。