「くどい!
と云ったきり、相手は唇を固く結んで眼を閉じたまゝであった。
さるにても何者に頼まれて織部正を狙ひ候ぞと、問はまくは存じたれども、此の者の態とても白状いたすべしとも覚えず、すなはち首を刎ねて仔細にあらため候へば、歳の頃二十を二つ三つ越え候か、面立ち尋常にていかさま様子有りげなればいよ/\いぶかしく存じ、具足下を探り候ところ錦の袋を肩より懸けて肌身につけたる態也。
「くどい!
と云ったきり、相手は唇を固く結んで眼を閉じたまゝであった。
さるにても何者に頼まれて織部正を狙ひ候ぞと、問はまくは存じたれども、此の者の態とても白状いたすべしとも覚えず、すなはち首を刎ねて仔細にあらため候へば、歳の頃二十を二つ三つ越え候か、面立ち尋常にていかさま様子有りげなればいよ/\いぶかしく存じ、具足下を探り候ところ錦の袋を肩より懸けて肌身につけたる態也。