彼は最初何気なく眺めていたのだけれども、一面に苔を着けている石崖のそこだけが、考えてみれば人が引っ掻いたようになっていて、而もその痕を胡麻化すために周りの苔を又少しずつ毮り取った形跡がある。
河内介は立ち上って、最も大きく剥げている一つの石の表面を二三度コツコツと叩いた。
するとその石の向うががらんどうらしい音がするのであった。
彼は最初何気なく眺めていたのだけれども、一面に苔を着けている石崖のそこだけが、考えてみれば人が引っ掻いたようになっていて、而もその痕を胡麻化すために周りの苔を又少しずつ毮り取った形跡がある。
河内介は立ち上って、最も大きく剥げている一つの石の表面を二三度コツコツと叩いた。
するとその石の向うががらんどうらしい音がするのであった。