嗚呼、後年の梟雄武蔵守輝勝、かの肖像畫に見るところの英姿颯爽たる「武州公」が、今や桔梗の方の厠の真下にある坑道の闇に土龍の如くうずくまっている様子は、どんなに不調和だったであろうか。
恐らくは河内介、―――武州公自身も、極めて迷惑な位置にある己れを見出して、一寸の間顰蹙したことであろうと察する。
何となれば、彼がどれほどその人を慕っていたとは云え、こう云う失礼な間道をくゞって迄その望みを遂げることは、彼女の尊厳を傷ける道理であり、武士たる者の体面にも関する。
嗚呼、後年の梟雄武蔵守輝勝、かの肖像畫に見るところの英姿颯爽たる「武州公」が、今や桔梗の方の厠の真下にある坑道の闇に土龍の如くうずくまっている様子は、どんなに不調和だったであろうか。
恐らくは河内介、―――武州公自身も、極めて迷惑な位置にある己れを見出して、一寸の間顰蹙したことであろうと察する。
何となれば、彼がどれほどその人を慕っていたとは云え、こう云う失礼な間道をくゞって迄その望みを遂げることは、彼女の尊厳を傷ける道理であり、武士たる者の体面にも関する。