谷崎潤一郎 『武州公秘話』 と、出来るだけやさしく、低い声で呼んだ。 「―――申し上げることがございます、お目通りをお許し下さいませ」 その時衣ずれのおとが急に止んだので、夫人が人声のきこえて来る黒漆塗りの枠の縁に彳みつゝ静かに耳を傾けている様子が推量された。 谷崎潤一郎の名言・名文を読む 用例を検索する → シェア