敵に廻しては最も恐ろしい一人の勇士が、今や「味方にさせてくれ」と称して自分の足下に項を垂れているのである。
彼女に取って此のくらい好都合の事はないが、しかし彼女には、筑摩家の恩に背いて何の行きがゝりもない自分のために身を投げ出そうと云う青年の、動機が合点出来ないのであった。
そうかと云って、今日まで此の密書が明るみへ出されずにいたことを思えば、此の青年が自分に好意を寄せているのは疑うべくもないような気がする。
敵に廻しては最も恐ろしい一人の勇士が、今や「味方にさせてくれ」と称して自分の足下に項を垂れているのである。
彼女に取って此のくらい好都合の事はないが、しかし彼女には、筑摩家の恩に背いて何の行きがゝりもない自分のために身を投げ出そうと云う青年の、動機が合点出来ないのであった。
そうかと云って、今日まで此の密書が明るみへ出されずにいたことを思えば、此の青年が自分に好意を寄せているのは疑うべくもないような気がする。