「ろうかの、ほなたもいまふこしふごさぬかの?
と云うように聞えるのだが、もうそんなことは彼自身には気にならなかった。
たゞ晴れの場所で物を云うときに、以前は大名の威厳を保って堂々と云う癖があったのが、兎唇になってから段々声の出し方が臆病になり、恐々しゃべる習慣がついて来たので、全く安心しきっている今の場合でも、どうかすると蚊の啼くような微かな声になる。
「ろうかの、ほなたもいまふこしふごさぬかの?
と云うように聞えるのだが、もうそんなことは彼自身には気にならなかった。
たゞ晴れの場所で物を云うときに、以前は大名の威厳を保って堂々と云う癖があったのが、兎唇になってから段々声の出し方が臆病になり、恐々しゃべる習慣がついて来たので、全く安心しきっている今の場合でも、どうかすると蚊の啼くような微かな声になる。