そう云えば夫人の顔を見る折にはにかむような様子をするのも、一つには心底彼女に惚れ抜いているのが我ながら照れ臭いせいでもあろうが、一つには、矢張頭の隅ッこに「自分は不具者だ」と云う意識が潜んでいて、それが動作に反映するのであるかも知れない。
兎に角片羽になる前の織部正は我武者羅な餓鬼大将のような性質で、こんなにいじけてはいなかったのである。
桔梗の方は受けた盃をゆっくりと飲みながら、しばらく庭前の雨のおとに耳を澄ます風情であったが、やがて、
そう云えば夫人の顔を見る折にはにかむような様子をするのも、一つには心底彼女に惚れ抜いているのが我ながら照れ臭いせいでもあろうが、一つには、矢張頭の隅ッこに「自分は不具者だ」と云う意識が潜んでいて、それが動作に反映するのであるかも知れない。
兎に角片羽になる前の織部正は我武者羅な餓鬼大将のような性質で、こんなにいじけてはいなかったのである。
桔梗の方は受けた盃をゆっくりと飲みながら、しばらく庭前の雨のおとに耳を澄ます風情であったが、やがて、