と、織部正が突然柄にもないことを云い出した。
彼は近頃しょざいなさを紛らすために妙な道楽に凝り始め、夫人に就いて和歌を学んでいるのであった。
堂上家の娘を母に持つ都育ちの夫人が、萬風流の道にかしこく、和歌に堪能であることは云う迄もないが、彼女の薫陶よろしきを得たのか、織部正もどうやら三十一文字をそれらしい形に列ねることが出来るようになったので、何事に依らず習いたては熱中するものであるから、折さえあると、
と、織部正が突然柄にもないことを云い出した。
彼は近頃しょざいなさを紛らすために妙な道楽に凝り始め、夫人に就いて和歌を学んでいるのであった。
堂上家の娘を母に持つ都育ちの夫人が、萬風流の道にかしこく、和歌に堪能であることは云う迄もないが、彼女の薫陶よろしきを得たのか、織部正もどうやら三十一文字をそれらしい形に列ねることが出来るようになったので、何事に依らず習いたては熱中するものであるから、折さえあると、