織部正夫妻は、此の時も矢張上段の御簾のかげに隠れていた。
そして廣間の両側に居流れた家来たちと共に、夫人から出された「杜鵑」の題について諷詠を競った。
家来たちの多くは、今日はもしかすると殿様の正体が拝めるかも知れないと云う好奇心に釣られて来たのであったが、則重は唯御簾の奥から自分の書いた短冊を下げ渡して一同の前で朗読させ、又家来たちのものが順々に読み上げられるのを、じっと聴いているばかりであった。
織部正夫妻は、此の時も矢張上段の御簾のかげに隠れていた。
そして廣間の両側に居流れた家来たちと共に、夫人から出された「杜鵑」の題について諷詠を競った。
家来たちの多くは、今日はもしかすると殿様の正体が拝めるかも知れないと云う好奇心に釣られて来たのであったが、則重は唯御簾の奥から自分の書いた短冊を下げ渡して一同の前で朗読させ、又家来たちのものが順々に読み上げられるのを、じっと聴いているばかりであった。