されば河内介の畸形的情慾は夫人に離れることを惜しむと共に、これらの環境から遠ざかることを強く厭ったに違いない。
唯併しながら、二人共筑摩家の滅亡が近きにあることを期していたので、尚此の後の手筈を示し合わせ、やがて再会の日を約しつゝ暫しの別れを告げたのであった。
池鰹鮒家の息女お悦の方、―――後の松雪院は、河内介が多聞山の城に帰ってからまだ半年もたゝない永禄元年の三月に、桐生家に輿入れした。
されば河内介の畸形的情慾は夫人に離れることを惜しむと共に、これらの環境から遠ざかることを強く厭ったに違いない。
唯併しながら、二人共筑摩家の滅亡が近きにあることを期していたので、尚此の後の手筈を示し合わせ、やがて再会の日を約しつゝ暫しの別れを告げたのであった。
池鰹鮒家の息女お悦の方、―――後の松雪院は、河内介が多聞山の城に帰ってからまだ半年もたゝない永禄元年の三月に、桐生家に輿入れした。