武州公秘話巻之六
牡鹿城没落の事、並びに則重生揃の事
「筑摩軍記」に曰く、「去る程に織部正則重公数年以来病気の故を以て国中の仕置を老臣共に委せ、己は奥殿に引籠給て専ら桔梗の方の寵愛に政務を忘れ、翠帳紅閨の楽みに日も是れ足らぬ態なりければ、斯くては筑摩殿の家運如何あるべきと武士は素より城下の民に至る迄眉をひそめ、安き心地もなきところに、永禄二年正月俄かに浅沼郡檜垣御坊の宗徒共を御退治可有由仰出され、志太遠江守に三千餘騎の兵を附て征伐に向はせける。
武州公秘話巻之六
牡鹿城没落の事、並びに則重生揃の事
「筑摩軍記」に曰く、「去る程に織部正則重公数年以来病気の故を以て国中の仕置を老臣共に委せ、己は奥殿に引籠給て専ら桔梗の方の寵愛に政務を忘れ、翠帳紅閨の楽みに日も是れ足らぬ態なりければ、斯くては筑摩殿の家運如何あるべきと武士は素より城下の民に至る迄眉をひそめ、安き心地もなきところに、永禄二年正月俄かに浅沼郡檜垣御坊の宗徒共を御退治可有由仰出され、志太遠江守に三千餘騎の兵を附て征伐に向はせける。