彼等の勢いが猖獗を極めるに従って、先年謀叛を企てたことのある月形城の横輪豊前守は、既に彼等と気脈を通じて動き出そうとする様子が顕然としているし、そのうちには馬場氏も取りかけて来るであろう。
で、これはどうしても徹底的に討伐しなければならないと云うので、老臣中の筆頭である筑摩将監春久に一萬数千の大兵を授けて、浅沼、栗生、椎原の三郡に群がる一揆共を蹴散らしつゝ、三方から彼等の根拠地を攻めにかゝった。
檜垣衆の方は、もうその頃は次第に兵力が増大していたけれども、筑摩方に比べれば三分の一の小勢であったから、そうなると流石にじり/\と追い詰められて浅沼郡の要害へ引き退き、塁を高くし、濠を深くして、防ぎ戦うより外はなかった。