公は檜垣衆から加勢を申し込まれても、最初の一二回は、矢張板挟みの苦衷を訴えて婉曲に拒否する風を装ったが、その後も頻々と求援の使者が来るに及び、遂に仮面をかなぐり捨てゝ、決然として一向宗徒に加担する態度を明かにした。
「自分は今日まで一閑斎の恩義に感じて檜垣衆の乞いを斥けて来たけれども、しかし昨今の筑摩家の無為無能には愛憎が盡きた。
僅か数千の敵を討つのに三四倍の兵力を費しながら、既に半歳に垂んとして未だに目的を達しないのは何と云う態だ。
公は檜垣衆から加勢を申し込まれても、最初の一二回は、矢張板挟みの苦衷を訴えて婉曲に拒否する風を装ったが、その後も頻々と求援の使者が来るに及び、遂に仮面をかなぐり捨てゝ、決然として一向宗徒に加担する態度を明かにした。
「自分は今日まで一閑斎の恩義に感じて檜垣衆の乞いを斥けて来たけれども、しかし昨今の筑摩家の無為無能には愛憎が盡きた。
僅か数千の敵を討つのに三四倍の兵力を費しながら、既に半歳に垂んとして未だに目的を達しないのは何と云う態だ。