と云って、なるべく顔を見ないようにしてやりながら、畳を二三畳へり下って、ぴったりそこへ額をつけた。
則重に取っては、今こゝにいる輝勝こそは、父一閑斎の恩に背き、彼を斯くの如き窮地に陥れた憎むべき敵である。
しかしその敵がこんな所へひょっこり出て来ようとは豫期していなかったことなので、視線が合った咄嗟の感じは、「憎い」と思うよりも、「あ、顔を見られた」と云う極まりの悪さが先に立った。
と云って、なるべく顔を見ないようにしてやりながら、畳を二三畳へり下って、ぴったりそこへ額をつけた。
則重に取っては、今こゝにいる輝勝こそは、父一閑斎の恩に背き、彼を斯くの如き窮地に陥れた憎むべき敵である。
しかしその敵がこんな所へひょっこり出て来ようとは豫期していなかったことなので、視線が合った咄嗟の感じは、「憎い」と思うよりも、「あ、顔を見られた」と云う極まりの悪さが先に立った。