谷崎君の他の小説についてそう思ったことはなかったが、この小説の筆致は、私をして雨月物語を連想させた。
しかし、上田秋成はあの時分の作家だから、こういう題材を扱っても、お座なりの道徳的訓戒をくっつけるくらいで、何でもなしに事件と光景を描叙するだけであったであろう。
谷崎君は概して心理研究者の態度を執っている。
谷崎君の他の小説についてそう思ったことはなかったが、この小説の筆致は、私をして雨月物語を連想させた。
しかし、上田秋成はあの時分の作家だから、こういう題材を扱っても、お座なりの道徳的訓戒をくっつけるくらいで、何でもなしに事件と光景を描叙するだけであったであろう。
谷崎君は概して心理研究者の態度を執っている。