いったい主人は大学時代に秀才やいう評判で、たいへんにええ成績で卒業しましたもんですから、そういう人間ならばいうのんで、嫁に来たとはいうもんの、婿を取るのも同様にして結婚したのんです。
そいでもう私の親たちは主人を信用してまして、いくらか財産も分けてくれまして、まあまああせるには及ばんから、学者になりたかったら学者になるで、ゆっくり勉強するがええ。
洋行もしたければ夫婦で二、三年彼方い行てくるがええなどいうてくれまして、――最初は主人も大そう喜んで、そんなつもりもあったらしいのんですけど、――私があんまり我が儘やのんで、実家の方笠に着て威張るのんやいう風に取って、それが癪に触ったのかも分れしません。