主人は絵エや文学やにはてんと趣味ない方やのんですが、私が学校い行きますことは賛成してくれまして、それは結構や、ええ思いつきやさかい精出して行くがええいうて、自分から勧めたくらいやのんでした。
毎朝出かけますのんにも、私が行きますのんは九時のこともあり、十時のこともあり、自分の都合でいろいろになることありましたけど、主人の方も事務所暇やのんですさかい、何時になろうと大概待っててくれまして、阪神電車で梅田まで一緒に行き、そいから二人円タクに乗って堺筋の電車通りの今橋の角で主人おろしまして私はずっとその車で天王寺い行きます。
主人はそういう風にして一緒に出かけますこと楽しみにしてたらしいのんで、「またもう一遍学生時代に復ったような気イするなあ」などいいますから、「夫婦づれで自動車で通う学生あったらおかしいやないか」いいましたら、あはあは笑うたりなんぞして上機嫌でした。