それはあのう、妙なことですが、学校でモデル使て、それにいろいろの服装さしたりポーズ取らしたりしまして、――日本画の方は裸体のデッサンはやりませんですけど、――それ写生する時間ありますねん。
ところがちょうどその時分に使てたのんが、Y子さんちゅう十九になる娘さんで、大阪では有名な美人のモデルやそうで、それに楊柳観音の姿さしまして、――まあ、いくらかそんな風すると裸体に近うなりますのんで、多少裸体の研究も出来るいう訳やったのんです。
私それを外の生徒たちと一緒に写生してますと、或る日校長先生が教室い這入って来られて、「柿内さん、あんたの絵エはちょっともモデルに似ておらんようですな、あんたは誰ぞ、外にモデルあるのんではありませんか」いわれて、何やこう、意味ありげに笑われますねん。