わたし最初それが口惜しいてなりませんでしたが、口惜しがるとなお馬鹿にしられるので、ようし、向が子供や思てるのんなら、何処までもそう思わして、油断さしてやれ、と、次第にそんな気イになりました。
うわべはいかにもやんちゃ装うて、都合の悪い時はだだこねたり甘えたりして、お腹の中では、ふん、人を子供や思てええ気イになってる、あんたこそお人好しのぼんぼんやないか。
あんたみたいな人欺すぐらいじッきやわ、と、嘲弄するようになって、しまいにはそれが面白うて何ぞいうとすぐ泣いたり怒鳴ったりして、自分ながら末恐ろしいなるほど芝居するのんが上手になってしもて、……先生なんかこんなことよう分っておられますやろけど、ほんまに人間の心理いうもん境遇によってえらいえらい変りようするもんですなあ。