いいながら、二人ともけったいな顔して下い降りて行たことありましてん。
夫はその間に洋服をセルの単衣物に着かえてしもてまして、わたしたち見た瞬間ちょっとイヤな顔しましたが、すぐ平気になって、「今日は僕なんにも仕事なかったのんで事務所早退きして来てん、お前らも学校怠けててんなあ」いうて、「お茶でも入れて何ぞうまいお菓子ンでも出さんかいな、お客さんもあるし、……」と、それなり三人で無駄話しながら何事ものう済みましたけど、その時うっかり光子さんが私のこと「姉ちゃん」いうてしもたのんではっとしました。
「あんた、あてのこと『姉ちゃん』いわんと『園ちゃん』いうてくれた方がええなあ、つい口癖になってしもて誰の前でも出るよって」と、わたししょっちゅういうてましたのんですけど、そういうといつも光子さん気イ悪うして、「イヤや、イヤや、そんな水臭いことあるもんか、姉ちゃんはあてに『姉ちゃん』いわれるのん嫌か?