「おあしの方はどないぞなるけど、まあとにかく待ってなはれ」いうて電話切ってしもてから、直ぐに自動車いいつけて、夫には「うちちょっと大阪まで行て来ま。
光子さんが急用やいやはるさかい」とたったそれだけいうて、二階い上って大急ぎで箪笥の中から揃いの着物や何やかんやと、夫が余所行きの時着る絹セルの単衣と羽織と絞りの三尺とを出して、風呂敷に包んで、それ女子衆に持たして先いそッと玄関まで出さしましたが、「なんやいな今時分からそんな包持って?
と、さすがに夫は気になったらしゅう、自動車い乗ろとする時に奥から出て来ていうのんでした。