何ぞ素人芝居でも始まったんかも分れへんけど、うち自動車待たしといて直ぐ帰って来るわ」いうて、もう時刻もおそなってしもてまして、九時二十五分ごろでしたよって、最初は真っ直ぐ南の井筒いう家い行こ思て出たのんですが、それよりもまあ梅田い行てお梅どん掴まいて見よ、お梅どんに聞いたら何ぞこの訳分るかも知れへん思て、梅田の駅い行て見ますと、まん中の入り口のところに立って待ちどしそうにキョロキョロしてますよって、車の中から手招きして、「お梅どん」いうと、「やッ、奥様だしたんかいな」とびっくりして照れくさそうにウロウロしてますのんを、「あんた光ちゃん待ってんねんやろ。
今えらい事件起って、光ちゃんから大急ぎで迎いに来てくれいう電話あってん、あんたも早乗んなさい」いうて、「えー、ほんまだっかいな」と何や腑に落ちんらしゅうぐずぐずしてるのんを無理に乗せて走らしながら、車の中で手短かにさっきの電話の話して「なあ、いったい誰やのん、その一緒に行てる男いうのんは?
お梅どん知れへんのかいな?