そんで男は自分と光子さんとの関係をいつまでも私に隠しとくのんはええことない思て、自分も諒解してるねんよって私にも諒解してもらうよう光子さんに話してたのんですが、光子さんかって勿論その方がええこと分ってながら、今更私の顔見ると切り出しにくうなって「折があったら折があったら」思てるうちに、とうとう今夜のようなこと出来てしもた。
そうしてさっきの電話では盗難に遇うたようにいうたけど、実はただの盗難ではない。
着物を取ったんは泥坊と違うて博奕打やいうのんです、それがだんだん聞いてみますと、ほんまに悪いことは出来へんもんで、その晩その宿屋の別の座敷で博奕してるもんあって不意に手エが廻ったんやそうですが、刑事がどやどや踏み込んで来たのんで、二人はびっくりして夢中で部屋跳び出して、光子さんは長襦袢のまま、男は寝間着のまま、屋根から隣りの家い逃げて物干しの床の下いもぐり込んでた。