それにしても「船場の徳光さんの近所におります」いうてたのんにそんな橋の名アやあの辺の路知ってるいうのんは、もう今までに何遍も二人で此処ら辺散歩したことがあるからなんです。
私よっぽど「誰に見られても男の人が附いて来るのんが一番わるい、三人だけやったらどないでも言訳立つよって、あんたええ加減に帰んなさい。
私に預けるいうときながら、あんた帰ってくれはれへんねんやったら私帰ります」いうてやろか知らん思たんですが、お梅どんの方は「それがよろしおまんなあ」「そうしまよなあ」と何でも彼でも綿貫のいうことに調子合わして、「そんならお気の毒ですけど、阪急のとこまで送って戴けまッしゃろか」と、知って男の思う壺に嵌まって行くのんです。