いいますと、「ついさっきンまで起きていやはりましたけど、もうちょっと前お休みになりはりました」いいますのんで、まあよかった、なんにも知らんと寝ててくれたらええ思いながら、出来るだけそうッとドーア開けて、忍び足で寝室い這入ってみますと、寝台の傍のテーブルに白葡萄酒の壜置いたあって、夫は頭から布団被ってすやすや寝てるらしいのんです。
お酒には極く弱い方で、寝しなにそんなもん飲むいうことなんぞめったにあれしませんのんに、きっと心配の余り寝られへんのんで飲んでんやな思て、静かな寝息乱さんように恐る恐る横になりましたけど、なかなか寝られるどころやありません。
考えれば考えるほど、口惜しさと腹立たしさとが何遍でも湧き上って来て、胸の中が掻きむしられるようになります。