あの箪笥の抽出しにしもてある手紙なんぞ焼いてしまお、それより一番さき観音さんの絵エの方どないぞしてしまおと、それも私には毎日ぐらい気イになって、今日こそ焼こ、今日こそ焼こと、箪笥の傍まで行きますけど、手エ取ってみたら中が見となるやろなあ思たら、やっぱり恐うてよう開けませんねん。
一日じゅうそないして暮らして、ゆうがた夫帰って来ますと、「ほんまによかった」とほっと重荷イおろします。
「うちこのごろ朝から晩まであんたのことばっかり思い詰めてて、ほかの事なんにも考エへんようにしてんねよって、あんたかってきっとそうしててくれるわなあ」と、私はぎゅッと頸のまわりに抱きついて、「うちの心にちょっとの隙も出来んように、いッつも、いッつも、可愛がりつづけに可愛がってくれなイヤやわ」と、今では夫の愛情だけがたった一つの頼りでした。