さんざん人に苦水飲ましときながらまだ足らんのか。
――私は体じゅうが顫て来るのんじっと押し鎮めて出来るだけ空惚けて聞いてやりました。
「ふん、そやねんわ」と、光子さんは頷いといてから、「入院さしてほしいいうてるねんけど、入院さす訳に行かんいわれてんわ」と、なんや褄目の合わんこというて、それからぼつぼつ話し出すのん聞いてみますと、あの私から借った英語の本見て幾通りもの方法やってみたところが孰れもあんじょう行かんらしいので、ぐずぐずしてたら人目につくようになって来るし、気が気でのうて、綿貫の知ってる人に道修町の薬屋の番頭さんあるのん幸い、その本に書いたある処方に従うて、薬をもろて飲んだんやそうです。