あてこないして姉ちゃんの傍で死ぬのんやったら本望やけど、……」と、そないにいうのんがちょっとぐらい狂言としたかって、握ってる手エ次第に冷めとなって来るような気イしますし、そうかて「お医者はん呼んだげよか」いうても「姉ちゃんに迷惑かかるよって呼んだらいかん、死ぬのんやったらこんなり死なして」いいますし、……孰方道そんなりにしとかれしませんので、女子衆に手ッ伝てもろて二階の寝室に運びましてん。
なんせ、咄嗟の場合ですよって布団敷いてる間アもあれしませんし、寝室い入れるのんはどや知らん思たんですけど、下はみんな見透される夏座敷ですし、しよことなしにそないしたのんですが、ようよう寝台い臥さしてしもてから、直きに夫とお梅どんとこい電話かけに行ことしますと、「姉ちゃん何処も行ったらいかん」いうて、袂をぎゅッと握ったままちょっとの間も放しなされしません。
尤もそないしてるうちに幾分か落ち着いて来たらしゅう、もうさっきのように苦しがらんようになりはったのんで、まあこの分ならお医者はん呼ばいでもよかった思うと、その時だけはほんまにほっとして助かったような気イしましてん。