なんせ、咄嗟の場合ですよって布団敷いてる間アもあれしませんし、寝室い入れるのんはどや知らん思たんですけど、下はみんな見透される夏座敷ですし、しよことなしにそないしたのんですが、ようよう寝台い臥さしてしもてから、直きに夫とお梅どんとこい電話かけに行ことしますと、「姉ちゃん何処も行ったらいかん」いうて、袂をぎゅッと握ったままちょっとの間も放しなされしません。
尤もそないしてるうちに幾分か落ち着いて来たらしゅう、もうさっきのように苦しがらんようになりはったのんで、まあこの分ならお医者はん呼ばいでもよかった思うと、その時だけはほんまにほっとして助かったような気イしましてん。
そんな工合で私は傍離れること出来しませんよって、「お便所汚れてるさかい直ぐ掃除しといて」いうて女子衆下いやってしもてから、何ぞ薬でも思いましてんけど、「いらん、いらん」と、イヤイヤしなさって、「姉ちゃん帯ゆるめてエな」いいなさるのんで、帯ほどいたげたり、血イの附いた足袋脱がしたげたり、アルコールと脱脂綿持って来て手エや足拭いたげたりしましたのんですが、そのうちにまた発作起って、「くるしいッ、くるしいッ、水、水、……」いいながらシーツや枕手あたり次第に掻きむしって、体を蝦のように曲げて悶えなさるのんです。